大文字
大文字の作成は、小文字の作成と非常に良く似た手順で行ないます。まず、共通の形状を持っている文字のデザインに役立つ形状と特徴を持つ主要な文字からデザインを始めます。小文字のときと同じように、文字の選択に際しては、その文字の使用頻度も依然として重要な要因です。
最初にデザインすべき二文字は「H」と「O」です。この二文字のデザインは、単に互いに関連しているだけではなく、既に作成した小文字とも関連していなければなりません。
大文字に対する小文字の比率を決めるのはこの段階です。書体デザインの目的に合った比率にするために、小文字のアセンダーやディセンダーを調整したり、小文字に対して大文字を調整します。
大文字の筆線の太さは、大抵、小文字の筆線よりも幾分太くする必要があります。どれくらい太くすべきかを素早く見つけるには、挿入実験(interpolation experiment)を行なうとよいでしょう。
次に追加すべき文字は、「A」「E」「S」「I」「N」と「P」か「D」のどちらか、それにおそらく「V」です。
作成しているフォントのスタイルによっては、大文字の幅を小文字の場合よりも広くする必要があることに気付くかもしれません。大文字「E」「S」と「P」の字幅は、実質的には「H」よりも狭くても、同様であっても構いません。
一般的には、「N」と「V」は「H」とほぼ同じですが、わずかに幅が広くなります。
「D」は「H」とほぼ同じですが、かなり広くなる場合もあります。
「O」の字形は、「C」「G」および「Q」について多くのことを教えてくれます。「H」の字形からは、「I」と「J」、および「B」「D」「E」「F」「K」「L」「P」「R」の左側について少しだけ学べます。また、「T」と「U」についても少し応用できるでしょう。「A」の字形は、「V」の形について多くのことを教えてくれます。
「V」の字形と各要素の比率は、「Y」「W」「X」をどのようにデザインすべきかのヒントになります。「Z」の字形は独特です。